サーキットを照らす光芒のもと、グランツーリスモ マニュファクチャラーズカップは最終戦に
グランツーリスモ ワールドシリーズ 2025 ワールドファイナル - 福岡 - マニュファクチャラーズカップ
日本・福岡(2025年12月20日) - 福岡に舞台を移し、待望のグランツーリスモ ワールドシリーズ 2025のクライマックス、ワールドファイナルが開催されました。超満員の福岡国際会議場では、世界最高のグランツーリスモのドライバーたちが、究極の対決に臨みます。彼らが掲げる目標はただひとつ ── すべてを懸けて最速の座を勝ち取ることです。
博多のウォーターフロントに位置する福岡国際会議場は、大規模なコンサートや展示会、国際スポーツイベントの開催地として知られていますが、今週末は特設のeスポーツアリーナへと変貌を遂げました。週末の幕開けを飾ったのは、オンライン予選で上位ランクを獲得したトップメーカーに、公式パートナーであるトヨタとマツダを加えた12チームが参加するマニュファクチャラーズカップ。各メーカーの代表選手3名は、グローバル予選での成績に基づいて、欧州 / 中東 / アフリカ地区、北米 / 中南米地区、アジア / オセアニア地区それぞれから1名ずつ選出された最強のメンバーです。
各メーカー1名が参加したラウンド3までのライブイベントとは異なり、ワールドファイナルは3つのスプリントレースと決勝レースで構成され、スプリントレースには各チームから異なるドライバーを起用。そして迎えた決勝レースでは、3名のドライバー全員が交代でコックピットを担当します。レース当日を迎え、スバルは12ポイントで首位に立っていますが、上位は僅差。マツダとBMWが2ポイント差の10ポイントで並び、ポルシェが1ポイント差で続きます。
ワールドファイナルの初戦を飾るレース1はデイトナ・トライオーバルで開催。ワールドシリーズでオーバルコースが舞台となるのはこれが初めてです。ドラフト、タイミング、そして精神力が試されます。マツダのサミュエル・カーディナル(PRiMA_Quartz)は、わずかなミスも許されないレースで完璧な走りを披露。集団を巧みにリードし、スバルのダニエル・ソリス(PRiMA_Lamb)とポルシェの佐藤 彰太(anchovy_sand_)を引き離します。このレースは一歩間違えればスピンしてウォールに激突するレース展開となりました。
レース2で勝負の流れは一変します。オートポリス インターナショナル レーシングコースで行われたレースは、豪雨により文字通りのサバイバル戦へと突入。グリップは不安定で、視界は限られていたため、戦略が勝敗を左右しました。ポルシェのホセ・セラーノ(JoseSerrano_16)は、ウェットコンパウンドのダンロップレースタイヤを駆使。冷静かつ攻撃的な走りを展開し、マツダのポル・ウラ(PolUrra)をかわして首位を死守。スバルの宮園 拓真(ZETA_Miyazono)は最終スティントの緊迫した展開を制し、表彰台を飾りました。
ポルシェは、サルディーニャ・ロードトラック・Aにおけるレース3でさらなる巻き返しを図ります。高速でテクニカルなレイアウトの中、アンゲル・イノストローザ(Veloce_Loyrot)はプレッシャーに耐え、ホンダのヴァレリオ・ガロ(OP_BRacer)とスバルのキリアン・ドルモン(R8G_Kylian19)からの執拗な攻撃をかわして勝利を収め、流れを確実にポルシェに引き寄せました。
決勝レースに向けて、タイトルの行方はまだわからないものの、ポルシェが41ポイントを獲得、39ポイントのマツダ、38ポイントのスバルを抑え、優位に立っています。しかしその差はごくわずか。プレッシャーは極限まで高まり、戦略は精巧さを極めます。残り1レースとなり、ダブルポイントがかかる中、2025 - マニュファクチャラーズカップ チャンピオンが果たして誰になるのか、依然として見通せない状況です。
決勝レース:ヤス・マリーナ・サーキット 20周
アブダビのヤス・マリーナ・サーキットが舞台となった決勝レースは、まばゆい光の中で幕を開けました。この近代的なモータースポーツの聖地は、『グランツーリスモ7』に新たに追加されたばかりです。長年にわたるF1アブダビグランプリの開催地として知られるヤス・マリーナ・サーキットは、ふたつの対照的な特徴を持つサーキットです。長く流れるようなストレートで構成される前半のセクションでは圧倒的なスピードが要求される一方、その先に待ち受ける狭くテクニカルなセクションでは、精密さと忍耐力が求められます。スポットライトに照らし出されたこのサーキットは、チャンピオンシップをかけた決戦にふさわしい舞台となりました。
戦略が20周にわたる決戦の勝敗を分けます。各チームは、ソフト、ミディアム、ハードタイヤそれぞれで最低5周走ることが義務付けられ、3名のドライバー全員が1スティントを走行しなければなりません。ポールポジションからスタートしたのはポルシェ 911 RSR。アンゲル・イノストローザが最初のスティントを担当します。フロントローにはトレント・ジェフリー(SV-RushRacing)がドライブするホンダ NSX Gr.3が並びます。3番グリッドには、前年度のネイションズカップ王者、宮園 拓真が運転するスバル BRZ GT300。4番手はポル・ウラがマツダ RX-VISION GT3 CONCEPTでスタートします。
ポルシェは積極的に序盤戦略を打ち出し、ソフトタイヤでスタート。早い段階で差を広げ、その後ハードタイヤに切り替えるという明確な作戦を立てます。マツダは同様の戦略を取った一方で、スバルはミディアムタイヤを選択。ホンダは逆にハードタイヤでスタートします。異なるタイヤ戦略が即座にレースの行方を左右します。オープニングラップのターン5ヘアピンを抜け、マツダはホンダとスバルの両方を抜き去って2位に浮上。2周目終盤には、ポルシェとマツダは後続集団との差を4秒まで広げます。
5周目を終えて、ハードのダンロップタイヤでスタートした8台が最初のピットストップを行います。マツダもこれに追随し、ミディアムタイヤに交換したRX-Visionを國分 諒汰(Akagi_1942mi)に託します。ポルシェは1周遅れでピットイン。ホセ・セラーノが911 RSRに乗り込み、ミディアムタイヤのスティントをスタートします。しかし、トラックリミット違反による0.5秒のペナルティが災いし、ポルシェは4位マツダの後ろまで後退、レースは緊迫した局面を迎えます。
8周目には、レース首位のスバルがピットイン。宮園がキリアン・ドルモンにバトンを渡し、ソフトタイヤに切り替えます。これはスバルがトップ集団に攻勢を仕掛ける決意の表れでした。残るレクサスが次周にピットインすると、マツダが首位を奪取しますが、セラーノが即座にRX-Visionのリアバンパーにぴたりと張り付き、國分は激しい追撃を受けます。すべてのチームが最初のピットストップを終えた時点で、順位はマツダ、ポルシェ、スバル、メルセデスAMG、BMWとなっています。
そして10周目にターニングポイントが訪れます。セラーノがターン6の鋭い左コーナーの内側から大胆な動きを見せ、國分を追い抜いて総合首位を奪還。両リーダーが激闘を繰り広げる一方、スバルは新品のソフトタイヤを駆使するドルモンが徐々に差を詰めていたものの、トップ2台の5秒以内まで縮めることはできませんでした。14周目、中盤スティントでも追い上げを緩めなかったマツダは、ターン9 スウィーパーでポルシェと接触。911は一瞬横滑りしましたが、セラーノはこれを制御してマシンをコース上に維持。首位を守り抜きます。この周回の終わりには、ほとんどのドライバーが最後のピットストップに向かいました。
上位3台は、1周遅れでそれに続きます。ポルシェは佐藤 彰太がセラーノと交代。マツダはサミュエル・カーディナルが引き継ぎ、スバルにはダニエル・ソリスが乗り込みます。それぞれがハードのダンロップタイヤを装着し、ゴールまでのラストランに臨みます。
その後ろには、BMWの鈴木 聖弥(Half-SpiritCRV86)とメルセデスAMGのルーカス・ボネリ(RVT_BONELLI)が迫ります。いずれもソフトタイヤを装着し、スバルからわずか1秒強の差で追走します。17周目の中盤、彼らは相次いでスバルを抜き去って3位と4位に浮上。スバルのシリーズチャンピオン制覇の望みを断ち切ります。その後、7番手スタートだったメルセデスAMGのボネリが、BMWの鈴木を抜き去って3番手に浮上。前方のマツダに狙いを定め、3秒の差を急速に縮めていきます。
前方ではカーディナルが佐藤を徹底的にマーク、果敢にプレッシャーをかけ、ミスを誘うべくあらゆる手を尽くします。ボネリが先頭集団に追いつくと、最終局面は3台によるスプリント対決となりました。19周目、ボネリはRX-Visionを猛然と追い抜き2位に浮上、ポルシェからチャンピオンシップを奪い取るかのような勢いをみせます。しかしその直後にマツダとメルセデスAMGが接触。メルセデスAMGのボネリはコースを外れ、優勝争いから脱落。2秒のペナルティが科されたカーディナルは3位に後退、マツダのタイトル獲得への道のりも閉されました。
レースを制したポルシェはマニュファクチャラーズカップのタイトルを獲得、シリーズ史に名を刻む栄誉を手にしました。BMWは6番手スタートから驚異的な追い上げで2位を獲得。表彰台の残る1席はマツダが占めました。ポルシェは通算で65ポイントを獲得し、55ポイントのマツダ、48ポイントのスバルを大きく引き離したかたちです。日本以外のメーカーによるマニュファクチャラーズカップ制覇は初の快挙であり、大胆な戦略、厳しい状況下での冷静さ、そして重要な局面での決定力によって成し遂げられた歴史的な結果と言えます。
レースを終え、イノストローザは「今は言葉が見つかりません。チームメイトに感謝しています。ついに世界チャンピオンになれました」と語りました。それを受けて、佐藤は「コース上では防御すべきスポットがいくつかあって、私は自信を持ってそれに対応できたので、結果的にうまくいきました」と付け加えました。最後にセラーノがレースの決定的な局面について次のように述べました。「マツダに追突された時『レースもチャンピオンシップも、もう終わった』と思ったんです。でも、気持ちを立て直してレースを継続できました。本当に心臓が止まりそうでしたよ!」
グランツーリスモ ワールドシリーズ 2025 ワールドファイナル - 福岡 - マニュファクチャラーズカップ リザルト
予選タイムトライアル
- カテゴリー:
- Gr.3
- コース:
- ヤス・マリーナ・サーキット
| 順位 | マニュファクチャラー/ドライバー | タイム | GAP |
|---|---|---|---|
|
1
|
|
1'53.229 | |
|
2
|
|
1'53.324 | +00.095 |
|
3
|
|
1'53.438 | +00.209 |
|
4
|
|
1'53.465 | +00.236 |
|
5
|
|
1'53.624 | +00.395 |
|
6
|
|
1'53.643 | +00.414 |
|
7
|
|
1'53.786 | +00.557 |
|
8
|
|
1'53.814 | +00.585 |
|
9
|
|
1'53.845 | +00.616 |
|
10
|
|
1'53.893 | +00.664 |
|
11
|
|
1'54.140 | +00.911 |
|
12
|
|
--- | --- |
レース1
- カテゴリー:
- Gr.3
- コース:
- デイトナ・トライオーバル
- 周回数:
- 10
| 順位 | マニュファクチャラー/ドライバー | タイム | ポイント |
|---|---|---|---|
|
1
|
|
4'52.016 | 12 |
|
2
|
|
+00.054 | 10 |
|
3
|
|
+00.107 | 8 |
|
4
|
|
+00.200 | 7 |
|
5
|
|
+00.247 | 6 |
|
6
|
|
+00.310 | 5 |
|
7
|
|
+00.467 | 4 |
|
8
|
|
+01.380 | 3 |
|
9
|
|
+14.210 | 2 |
|
10
|
|
+14.250 | 1 |
|
11
|
|
+14.281 | 0 |
|
12
|
|
+19.882 | 0 |
- ファステストラップ:
- BMW ランドール・ヘイウッド 47.327
レース2
- カテゴリー:
- Gr.3
- コース:
- オートポリス インターナショナル レーシングコース
- 周回数:
- 5
| 順位 | マニュファクチャラー/ドライバー | タイム | ポイント |
|---|---|---|---|
|
1
|
|
9'51.277 | 12 |
|
2
|
|
+0.157 | 10 |
|
3
|
|
+1.172 | 8 |
|
4
|
|
+2.888 | 7 |
|
5
|
|
+5.625 | 6 |
|
6
|
|
+10.537 | 5 |
|
7
|
|
+13.013 | 4 |
|
8
|
|
+13.096 | 3 |
|
9
|
|
+13.401 | 2 |
|
10
|
|
+14.208 | 1 |
|
11
|
|
+14.440 | 0 |
|
12
|
|
DNF | 0 |
- ファステストラップ:
- スバル 宮園 拓真 1'57.502
レース3
- カテゴリー:
- Gr.3
- コース:
- サルディーニャ・ロードトラック・A
- 周回数:
- 7
| 順位 | マニュファクチャラー/ドライバー | タイム | ポイント |
|---|---|---|---|
|
1
|
|
12'00.314 | 12 |
|
2
|
|
+2.277 | 10 |
|
3
|
|
+2.748 | 8 |
|
4
|
|
+3.760 | 7 |
|
5
|
|
+4.719 | 6 |
|
6
|
|
+6.032 | 5 |
|
7
|
|
+6.830 | 4 |
|
8
|
|
+6.838 | 3 |
|
9
|
|
+6.887 | 2 |
|
10
|
|
+7.684 | 1 |
|
11
|
|
+10.483 | 0 |
|
12
|
|
+31.311 | 0 |
- ファステストラップ:
- マツダ 國分 諒汰 1'41.158
決勝レース
- カテゴリー:
- Gr.3
- コース:
- ヤス・マリーナ・サーキット
- 周回数:
- 20
| 順位 | マニュファクチャラー/ドライバー | タイム | ポイント |
|---|---|---|---|
|
1
|
|
39'16.082 | 24 |
|
2
|
|
+01.768 | 20 |
|
3
|
|
+03.880 | 16 |
|
4
|
|
+05.041 | 14 |
|
5
|
|
+05.444 | 12 |
|
6
|
|
+10.507 | 10 |
|
7
|
|
+11.875 | 8 |
|
8
|
|
+12.404 | 6 |
|
9
|
|
+13.599 | 4 |
|
10
|
|
+14.245 | 2 |
|
11
|
|
+14.661 | 0 |
|
12
|
|
+14.933 | 0 |
- ファステストラップ:
- 日産 1'52.894


