グランツーリスモ・トロフィーをベルトーネ B.A.T 1が受賞
8月15日、アメリカ・ペブルビーチで開かれた第60回「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」において「グランツーリスモ・トロフィー」の選考が行われ、プロデューサー山内一典は、1952年製アバルト1500ビポスト ベルトーネ B.A.T 1を選出しました。
自動車デザインの歴史で、エアロダイナミクスを語るとき必ず話題に上るのが、1950年代、イタリアのボディ工房ベルトーネが発表した一連のモデル「B.A.T」です。「B.A.T」とは「Berlinetta Aerodinamica Tecnica (空力実験車両)」の略。アルファロメオをベースにした「B.A.T 5」「B.A.T 7」「B.A.T 9」が有名ですが、このアバルト1500ビポストは、この3台の先駆けとなった極めて重要なモデルです。
デザインしたのは、当時ベルトーネに在籍し鬼才と呼ばれたフランコ・スカリオーネ。彼はこのクルマに第1級の空力性能はもちろん、強烈な個性と新しさを織り込みました。度肝を抜く3つのライト、えぐれた前後フェンダー、テールフィンを暗示させるリアの造形。航空エンジニアの教育を受けたスカリオーネのこのデザインは、後の風洞実験で実際に優れた空力性能を示すことが証明され、「'50年代初め、すでに空気の流れを読んでいた」と絶賛を浴びることになります。
アバルト1500ビポストは1台のみが制作され、1952年のトリノ自動車ショーに出品されましたが、その後アメリカのパッカード社に買い取られ、自動車史の表舞台からは姿を消していました。この歴史的にも価値あるモデルを、イギリスのクリス・ドレイク氏が完璧なまでにレストアし、ペブルビーチに出品したことで、今回の受賞が実現したのです。
一方ペブルビーチの大賞である今年のBest of Showは、1933年製ドラージュD8S De Villars ロードスター(The Patterson Collection)が獲得しました。
アメリカ、サンフランシスコの南にある高級リゾート地、ペブルビーチで毎年8月の第3ウィークエンドに開かれる世界でもっとも権威あるヒストリックカー・イベント。ペブルビーチ・ゴルフコースの18番ホールを利用して開催され、この週末のフェアウェイは世界中から訪れた自動車愛好家で埋め尽くされる。
「グランツーリスモ・トロフィー」は2008年、「ポリフォニー・デジタル・トロフィー」としてスタート。今年が3度目の授賞となる。
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