2007年01月19日
今回の「CT230R」の受賞にあたり、(株)エッチ・ケー・エスを代表して壇上に上がってくださったのは国内営業部の菅正次さん。受賞式直後の興奮冷めやらぬ声を聞かせていただこうと、山内一典自身がインタビューを行いました。
外装のほとんどがカーボン!

- CT230Rの成し遂げた“神業”に惚れこみウィナーに選定した『グランツーリスモ』 プロデューサー山内一典

- (株)エッチ・ケー・エス国内営業部の菅正次さん。CT230Rのコンセプトメイクやタイムアタック戦略などを決定する企画責任者でもある
山内:
今日はおいでいただきありがとうございます。早速ですがあのクルマが生まれることになった経緯からお聞かせください。
菅:
はい。近年チューニングカーの世界では筑波のタイムアタックが一つのターゲットになっています。チューニング雑誌なども毎年寒い時期に必ずチャレンジを行っているんですね。HKSは最初このアタックに「TRB(Tsukuba Record Breaker)-02」というクルマで参戦しました。そのときの目標は54秒台。この目標自体チューニングカーとしては前例のないタイムだったのですが、実はそのタイムがシェイクダウンの日にあっさり出てしまったんです(笑)。そこで筑波にとどまらず、さらなるストーリーを追い求めようということになり、国内の国際格式クラスのサーキットのコースレコードを打ち立てるクルマとして、新たにCT230Rが生まれたんです。
山内:
HKSさんは他のチューニングショップにもパーツを供給するいわば“Tuner of Tuner”でもあるわけですが、その辺もこのクルマの開発には影響しているのですか。
菅:
そうですね。皆さんに使っていただくHKSのパーツがどこを走っても壊れない、速いということを証明したいという狙いもあります。
山内:
ベース車はランエボですが……。
菅:
ランサー・エボリューションVIIです。顔つきはIXになっていますけど(笑)。
山内:
当然軽量化、低重心化といったことを意図されたと思うのですが、具体的にはどう作られたのでしょう。
菅:
パーツは基本的に弊社が通常市販しているものを使っています。唯一足回りは車重の関係でリセッティングを施しました。ボディに関してですが、タイムアタックということでカーボンを多用しました。
山内:
外装のほとんどがカーボンですよね。
菅:
そうです。ただしボディ自体の改造はそれほど行っていません。
山内:
車重は1tを切ったのですか。
菅:
1090kgです。意外とあるなと思われるかもしれませんが、基本骨格を残すとあれくらいが限界かなと思います。これ以上やるには、カーボンボディを被せたレースカーのような仕様しかないと思います。
ユーザーが手に入れられるものを使う
山内:
駆動系はランエボの4WDそのままですか。
菅:
去年の春くらいまではラリーアートさんのドグミッションを使っていたのですが、今は弊社で商品化を目指しているドグミッションがあるのでそちらに換装しています。
山内:
センターデフは?
菅:
ノーマルACDをオリジナルECUでコントロールしています。ただし今のところドライバー自身が状況に応じてACDの作動圧を手動で切り替えるようにはなっています。
山内:
進入時やタイトコーナー、ロングコーナーとかでACDを切り替えるわけですね。エンジンは2.3リッターとお聞きしましたがその排気量アップはどうやって?
菅:
ボア&ストロークアップです。
山内:
過給はどうしていますか。
菅:
弊社の「GT3240」というターボチャージャーを使っています。よりハイパワーを出すため、より大きいサイズになっています。
山内:
出力はどのくらい出ているのですか?
菅:
現状で560psです。
山内:
ということはパワーウェイトレシオで約2kg/ps。過剰なまでに搾り出しているという数値ではないんですね。
菅:
そうなんです。市販Sタイヤでのタイムアタックとなると、一定レベル以上のパワーはあっても活かせないんですね、タイヤへの負担が大きいのでランサーとしてはベストかなと思ってます。
山内:
タイヤは265/35R18のSタイヤですね。このチョイスはどのように?
菅:
はい。ヨコハマタイヤさんに協力していただいているのですが、GS(ジムカーナ・ソフト)コンパウンドを選んでいます。単にサイズだけなら315というサイズもあるのですが、コンパウンドがハードしか選べないんですね。
山内:
車重的にも軽いから固いタイヤだと喰いつかないですよね。
菅:
そうなんです。ただ鈴鹿あたりだとGSでは1周ギリギリしか持たないのでタイヤ選択は悩ましいですね。315のGSを特別に作ってもらえれば間違いなくタイムは上がるのですが、ユーザーの皆さんが手に入れられるものを使うという点がチューニングカーとしてのこだわりですのでそこは守りたいですね。
いつかはニュルにチャレンジを!
山内:
CT230Rは海外でのチャレンジはお考えですか。たとえばニュルブルクリンクに挑んだりすることは?
菅:
すでにそういうご提案はいただいています。CT230Rはもう一度筑波を走って、あとは昨年のチャレンジが雨で中止になったオートポリスがあるんですが、それで日本国内でのチャレンジはひとまず終了かなと思います。となると次は当然海外なのですが、海外メディアの方々からも「ニュルを走らせて」という声を多くいただいているんです。とはいえまだ具体的なプランは一切ないのですが。
山内:
今度『グランツーリスモ』の中でCT230Rを作ってみますので、それでニュルをどのくらいで走れるか測ってみませんか。
菅:
そうですね。予想以上の好タイムだったりしたら社内のムードも活気づくかもしれません。そのデータも参考にさせていただいて検討してみたいと思います。
山内:
いつか全世界で「グランツーリスモ・アワード」を実現させて、世界中の受賞車を1ヵ所に集めてイベントがやれたら素晴らしいなと思っているんです。その時はぜひ参加してください。今日は本当にありがとうございました。















