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2008年06月06日

24h-Rennen Nurburgring 2008ニュル24時間レース -現地レポート-

第2部 レースレポート(後編)
マンタイレーシングが君臨する上位勢

北コースのあちこちで一晩中騒いでいたギャラリーたちの喧騒が収まる頃になると、苦しかったナイトセッションにも終幕がやってきます。マシンの通過後に一瞬の静寂が訪れるニュル24時間レース独特の夜明けです。 濃霧による中断のまま夜明けを迎えた昨年ほどではありませんが、今年も空には雲が立ち込め、すがすがしい朝日が見られません。しかし雨はコース全域でほぼあがり、ドライコンディションでレースが進行しています。

一夜明けてみると、上位勢にはマンタイレーシングが君臨する事態となっていました。
朝8時の時点で、トップはもちろん2位と4位にもマンタイのポルシェが食い込んでおり(それぞれ♯23、♯26)、残る2台も12位(♯25)、17位(♯27)につけているのです。1996年に創業したこの新興ポルシェチューナーの底力を見せ付ける出来事です。ただし一連の911RSR勢は、シーケンシャルギアボックスにトラブルが発生しており、マンタイも爆弾を抱えつつの走行となっています。
このほかではディーゼルモデルのBMW320dが8位まで躍進。一昨年の再現も夢ではなくなってきました。そして夜半のうちにめきめきと順位を上げたファルケンZがそれに続く9位。GT-Rで成し遂げた総合5位が目前に迫っています。 またフォルクスワーゲンのシロッコが、ワークスチームの威力を存分に見せ付けてここまでほぼノートラブルで走行。118号車が11位、117号車が16位という位置につけています。2リッターガソリン直噴ターボのFSIエンジンは325psを発揮しているといわれますが、SP7やSP8というモンスターを相手にSP3Tクラスでここまで戦うとは、見事というほかありません。
いっぽう日本勢のインプレッサはさらに順当にポジションを上げ79位。LF-Aは夜半のピットイン後調子が好転し136位まで持ち直しました。各チームはこの後の気温上昇などを見越してブレーキローターなどの交換などに入ります。

25日朝6時。雲の切れ間からゆっくりと朝日が顔を出す。ノートラブルのチームではメカニックがわずかな休息を取る。ストレート上を行くのは圧倒的優位を築くマンタイ1号車
チームクルーはわずかな時間を見つけては休息を取る。決して手抜きではない。この先にアクシデントが発生してもそれを乗り越えるための力を温存させているのだ

それぞれのサバイバルゲーム

ゴールまであと5時間となった日曜日午前10時。場内アナウンスの天気予報の言うとおり、一部に雲は残るものの青空が広がる天気となりました。ときどきいたずらのように天気雨がコースを襲いますが路面を濡らすほどではありません。気温がぐんぐん上がる中、各チームは最後の力を振り絞ってゴールを目指します。 マンタイレーシングの覇権はさらに力を増し、25号車が9位に入ってトップ10に4台がひしめき合う状況です。ポルシェ陣営以外では、リタイヤしたモータースポーツアリーナに代わってORMSレーシングのZ4 Mクーペ(#64)が順位を上げ現在4位、昨年も善戦したスクーデリア・アウグスタスブルクのBMW M3(#10)が6位につけています。 さらに“サイレント・マシン”ディーゼルの320dがさらに1つポジションを上げて7位に躍進しました。320dは前後のマシンに比べて20-30秒遅いラップで走っていますが、他車が1スティント10-11ラップなのに対し、こちらは1スティント15-16ラップ。いわゆる “足の長さ”で速さを凌駕するという耐久レースならではの戦略です。

コースサイドを埋める20万人のギャラリーは相変わらず陽気そのもの。レースを自分のライフスタイルの中にうまく溶け込ませ心の底からウィークエンドを楽しんでいる

終盤のトラブルのジンクスから逃げ切ったのはインプレッサ。このレースへの参戦経験のある吉田選手が予選なみのラップタイムで順位を上げ、午前10時には69位で松田(秀)選手にバトンタッチ。松田選手がさらに順位をあげていきます。 単独挑戦組では、42位からスタートした桂選手がドライブするアストンマーチンV8ヴァンテージがじわじわと順位を上げ、この時点で21位。蔵田選手が乗るシビックは夜半からずっとクラス優勝のバトルを演じながら総合順位でも101位と健闘しています。

いっぽう日本勢には、再び異変が起きていました。10時前、一時は上げ潮に乗ったかに見えたレクサスLF-Aが、コース脇のブッシュに左リアタイヤをヒットし、ハブボルトを折損。なんとかピットに戻りましたが再び長いピットワークを強いられてしまいます。 続いてマンタイレーシング25号車に9位の座を奪われたファルケンZ。11時を過ぎた頃、星野一樹選手がウインドスクリーンをオイルまみれにしてピットに帰ってきました。ボンネットを開けてみると、パワーステアリングのオイル漏れであることが判明。チームはパワステポンプの交換に踏み切ります。この作業に1時間を要しポジションは26位までドロップ。残り2時間半での挽回に欠けます。

ニュル24時間レースの新しい1ページ

ゴールが刻一刻と迫るにつれて、コース上には応急処置を施した傷だらけのマシンが増えて生きます。ガムテープでフロントバンパーを吊ったBMW、リアバンパーが脱落しメインマフラーをむき出しにして走る911。その傷跡の一つ一つに、耐久レースの過酷さと面白さが刻み込まれているかのようです。 去年のようにマンタイレーシングを追い上げるライバルはおらず、1号車の安泰ぶりは磐石。2時を過ぎてギアボックスオイル補充のために行われたピット内作業でも、クルーは落ち着いて作業を進め、マシンを最後のスティントに送り出します。 この頃からピットとコースを仕切る金網にクルーが登り始め、自チームのマシンにあらんかぎりの歓声を浴びせかけます。それは時間を追うごとに増え、最後はエアホーンの響きとともに地鳴りのような音の塊となってコースを駆け巡ります。

5月25日午後3時。グランドスタンドのないグランプリコースのホームストレートに、チェッカーフラッグが振り下ろされました。
優勝したのは、2位、5位、8位、そして12位にチームメイトを従えたマンタイレーシング1号車。フォーメーションラップのトラブルが夢のように感じられる3連勝です。3位にも911が入ったことでポルシェは表彰台を独占。15年ぶりの快挙を成し遂げました。

フォルクスワーゲンのシロッコは118号車が11位、117号車が15位、116号車が32位という結果に。SP3Tクラスの1-2フィニッシュを果たしたことも秀逸ですが、予定外のピットストップが3台合わせてもたった3回という事実に、ワークスチームの実力を思い知らされました。

注目のディーゼルマシン320dはゴール3時間前まで7位と善戦していましたが、終盤のトラブルで40分をロスし13位に終わりました。フレンツェンの駆るアポロは多くの時間をピットで過ごし真価を発揮できずに終わりましたが、ハイブリッドの可能性は来年以降も追求されるに違いありません。

日本勢では終盤のピット作業で順位を落としたファルケンZが結局23位でゴール。最後まで前に出ることをあきらめない気迫あふれるレースでした。インプレッサは初のワークス参戦を57位で終了。SP6クラス5位に入賞しました。レクサスLF-Aは見せ場の作れない戦況に苦しみましたが、結局総合120位でゴール。しかし市販車両の耐久性検証という目的は充分に達したといえるでしょう。 桂伸一選手のアストンは、結局4台のアストン中最高位を占め総合18位でフィニッシュ。SP8クラスのウィナーとなりました。また蔵田久尚選手はシビック93号車でフィニッシュドライバーを務め、総合81位、SP4クラス2位という見事な成績を収めました。

チェッカーフラッグを目前にしたファイナルラップのショット。SP7/8クラスのマシンが編隊を組んでゴールを迎える。マンタイの各車に加え右端にはレクサスLF-Aも見える
総合順位こそやや落とし18位となったが、アストン8号車は同車中最高のリザルトを残し見事SP8クラスの優勝マシンとなった。チームメイトに抱え上げられて手を振る桂選手

こうしてまた、世界一過酷なツーリングカーレースの幕が下りました。 20万人の観衆、1000人のドライバー、1000人のマーシャル、430人のビジネススタッフ、170人のレースコントロール、120人の消防要員、100人のセーフガード、そして100人の救急要員。この途方もない数のスタッフが生み出した壮大なドラマ。

2009年。満員の観衆をたたえた新しいグランドスタンドの前では、はたしてどんなレースが展開するのでしょうか。

Text by グランツーリスモ・ドットコム運営チーム

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