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2008年06月06日

24h-Rennen Nurburgring 2008ニュル24時間レース -現地レポート-

ドイツ・フランクフルトの北西およそ130kmに存在する自動車の聖地、ニュルブルクリンク。このサーキットのまわりを深い緑が埋め尽くし、菜の花畑がバッチワークのような彩りを添える時期になると、恒例の24時間レースのウィークエンドがやってきます。今年もまたその熱戦のもようをお伝えしましょう。

今年、ニュルブルクリンクを訪れる人は、その光景に呆然とするに違いありません。現在ニュルのグランプリコースはグランドスタンドが完全に取り壊され、代わりに何本ものクレーンがそびえ立っているのです。

ニュルブルクリンクでは現在、この地を自動車文化の拠点にするための大規模な工事が進行しています。来年中にはここに大規模なビジネスセンターや全天候型アリーナ、インドアアトラクション、カジノなどが姿を現し、あたりの景観は一変することでしょう。昨年創建80周年を迎えたニュルブルクリンクはその栄えある歴史に驕ることなく、21世紀のモータリングカルチャーのハブとして、大きく変貌しつつあるのです。

グランプリコースのピット2階からホームストレートを見た図。かつてグランドスタンドがあった場所には幾本ものクレーンがそびえ立ち、新たなクルマ文化の拠点が建設中だ
今年も『グランツーリスモ』はこのレースのメインパートナーを務める。すべての参加車両のウインドスクリーンには黒地に白抜きでロゴが描かれたステッカーが貼られる

多彩な参戦マシン

そうした変化の一方で、24時間レースに集まってくる人々の情熱は、今後も変わらず受け継がれていく伝統といえるでしょう。2008年のエントリーリストに名を連ねた車両は280台。ギネスブックにも名を残す世界最大のツーリングカーレースが、また今年も幕を開けるのです。

5月23日の金曜日。ニュルブルクリンクは予選日を迎えました。予選は2回行われ、今年は1回目のセッションが午前9時25分から10時55分まで。2回目が午後7時35分から11時半までです。 通常の予選では、1回目をセッティングやドライバーの“慣らし”にあて、2回目の日没直前にアタックするという展開が一般的(ニュルの日没は午後9時過ぎです)。しかし今年は午後から雨が降るという予報が出ていたため、どのチームも午前中にタイムを出す戦略です。

予選の戦いの中から今年の注目車両を紹介しましょう。
一昨年、昨年と2連勝を果たしたオラフ・マンタイ率いるマンタイレーシング(♯1/SP7。他に4台参戦)は、さらに熟成が進んだ911GT3 RSRで3連覇を目指します。同じ地元勢であるザクスピード・バイパー(♯2/SP8)や昨年鮮烈なドッグファイトを演じたランドモータースポーツの911GT3 RSR(♯3/SP7)、さらには世界のGTレースを席巻しているアストンマーチンとの攻防が注目されます。

昨年SP3Tクラスながら総合8位に食い込んだフォルクスワーゲン・モータースポーツは、ジュネーブショーで公開したばかりの未発売モデル、新型シロッコのレーシングマシンを3台投入(♯116、117、118/SP3T)してきました。ドライバーに往年のル・マンウィナー、ハンス・ヨアヒム・シュトックやスペインの英雄カルロス・サインツを起用するという豪華な布陣も見どころです。

一昨年、昨年とこのレースを2連覇中のディフェンディングチャンピオン、マンタイレーシングのポルシェ911 GT3RSR1号車。マンタイは今年全部で5台のマシンを投入する

しばらくDTMからも遠ざかっていた元F1ドライバー、ハインツ・ハラルド・フレンツェンがドライブするグンペルト・アポロ(♯11/E1-XP)も注目です。聞きなれないこのクルマは、元アウディ・モータースポーツ代表のローランド・グンペルトが創業した新興マニュファクチャラーのマシン。アウディ製V10ツインターボと電気モーターを積んだハイブリッドマシンで回生ブレーキを備えています。「モータースポーツにおける環境問題への提言であり、未来のレーシングカー開発へのアピールでもある」とはフレンツェン自身の言葉です。

1999、2001、2002年とニュルで3勝をあげたかつての帝王ザクスピードのバイパー。昨年久々に2位に食い込み復活を印象付けたが今年こそ表彰台の中央に返り咲きたいもの
勢ぞろいしたフォルクスワーゲン・モータースポーツの新型シロッコとチームクルー。117号車のドライバーにはカルロス・サインツとハンス・ヨアヒム・ストックの顔が見える
元F1ドライバーH.H.フレンツェンが駆るグンペルト・アポロ。ロードバージョンはアウディ製V8ツインターボだがこちらはV10ツインターボ+電気モーターのハイブリッド

欠かせぬ存在となった日本チーム

すっかり存在感が定着した日本勢に目を向けてみましょう。
レース直前に情報が明らかになり、クルマ好きの話題をさらったのがレクサスLF-A(♯14/SP8)。市販は2010年といわれる中、なんと開発車両で参戦するという前代未聞の試みです。全身マットブラックで覆われたマシンはまさに開発シーンを思わせるもの。清水和夫/中谷明彦/木下隆之/飯田章という4人の日本人ドライバーがステアリングを握ります。
ニューモデルを引っさげて初のワークス参戦を果たしたのがスバル・インプレッサ(♯86/SP6)。旧モデルではプライベーターが実績を残してきただけに期待が高まります。ロングホイールベースとAWDの組み合わせは悪天候時に威力を発揮するでしょう。ドライバーは吉田寿博/松田秀士/服部尚貴/松田晃司の4名。チーム監督は永らくインプレッサの開発ドライバーを務めた辰巳英治氏です。

全身をつや消しブラックで覆った異様なたたずまいのレクサスLF-A。今回の参戦は市販に向けた耐久性の検証のためという。フロントの各部についた空力パーツが興味をそそる

グリーンとブルーにボディを塗り分けたおなじみのファルケンモータースポーツは、R34GT-Rからバトンを受け継いだZ33が2年目の挑戦(♯85/SP7)。昨年の総合33位という成績をどこまで伸ばせるか期待がかかります。ピーター・ダンブレック/ダーク・ショイスマン/田中哲也/星野一樹という4人のドライバーも昨年どおりです。

このほか日本人ドライバーとしては、ジャーナリスト&レーシングドライバーの桂伸一選手がTEAM OLIVER MATHAIのアストンマーチンV8ヴァンテージをドライブ(♯8/SP8)、スーパー耐久などで活躍してきたクラゴンこと蔵田久尚選手が昨年同様FLEPER MOTORSPORTSから欧州仕様シビック(♯93/SP4)で参戦します。

かつての開発ドライバーを監督に迎えて初のワークス参戦を果たしたスバル・インプレッサ。市販車両にこだわったマシン作りがなされており市販車の速さを証明することが狙い
朝の予選アタックにピットアウトしていくファルケンモータースポーツのZ。ライトグリーンとブルーのコンビネーションの車体はもはやニュルに欠かせない存在となった
日本から単身乗り込んだジャーナリストの桂伸一選手がドライブするアストンマーチンの8号車。ここ数年GTレースにおけるアストンの活躍は目覚しく好リザルトが期待できそう

結局、予選はマンタイレーシングが予想どおりの速さを見せつけ、8分26秒730でトップ、2位には伏兵のハンコック/H&Rのポルシェがつけました。ザクスピードバイパーは3位、ランドモータースポーツのポルシェが4位という形勢です。 この他ではグンペルト・アポロが11位、ファルケンZは去年の予選ラップを4秒以上上回って24位。レクサスLF-Aはリスクのない走りで27位にランクインしました。その直後28位と30位にはクラス下のシロッコ117号車、118号車が食い込んでいます。 桂選手の乗るアストンマーチンは40位。インプレッサは堅実にまとめて110位。クラゴン選手のシビックはタイヤチョイスなどに悩み161位に終わりました。なお話題を集めたアウディR8は予選走行後参戦断念を決定しています。

【 ニュルブルクリンク24時間レースTips 】

●ニュル24時間レースは毎年5月から6月の初夏の季節に開催されます。

●参戦車両は3つのディビジョンに大別されますが、その半数以上がFIAのグループA規定に順ずるディビジョン2です。

●ディビジョン2はさらに排気量と過給器の有無によってSP1からSP8までに小分類され、ポルシェGT3やバイパー、アストンマーチン、M3GTRといった総合優勝を狙うマシンはSP7/SP8に属します。ただしそれ以下のクラスにもM3や350Zやランエボ、S2000、シビックTYPE-R、ゴルフといった強豪マシンがひしめいており、あらゆるクラスで激しいバトルが期待できます。

●この他、改造範囲の狭い小排気量車、ディーゼル車、そしてハイブリッドカーのためのカテゴリーがディビジョン1です。今年はBMWのディーゼルモデルが多数参戦しています。ディビジョン3はFIAのグループN相当のカテゴリーですが、改造範囲の狭さから耐久性維持が難しく、エントリーも数えるほどしかいません。

●初めて参戦するドライバーには、レースウィークの火〜水曜日にノルドシュライフェ・トレーニングという実地講習が義務付けられています。この講習に合格しなければ、金曜日の予選に出場することはできません。

●大観衆が集まってくるのは水曜日あたりから。大半がオートキャンプスタイルでやってきて、アウトドア感覚でレースを楽しみます。

●金曜日の予選は2セッション制で行われます。各クラスのトップ3のタイムの平均が基準となり、その130%以内のタイムを出せなければ予選落ちとなります。なお参加ドライバーは全員最低2回のタイム計測が義務付けられています。1チームの参加ドライバーは4名です。

●1周20.832kmのオールドコースには現代的なピットがありません。そのためニュル24時間の日はオールドコースとグランプリコースが接続されて、25.378kmの特設コースが誕生します。決勝レースでは、このコースをトップグループで8分後半〜9分台、コンパクトカークラスで10〜12分台でラップします。

Text & Photo by グランツーリスモ・ドットコム運営チーム

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